オンライン授業、遠隔授業、あるいは、オンライン会議の利用は、このコロナウイルス問題で、一挙に多くの人が必須のものとして試してみるようになった。特に大学などの教育機関では、なだれをうって、その採用があたかも唯一の解であるかのように取り沙汰されている。大変に便利なものだし、この傾向は多少遅きに失した観はあるが、普及が進んでいくことは歓迎したい。
となると、その先にあるものは何かということになる。日本中の人が、同時に、一斉に、パソコンやスマホを持って、オンライン会議をしようとしたらどうなるか、Youtubeなどの動画を見だしたらどうなるか?そんな心配が頭をよぎった。たとえば5千万人が一斉にYoutubeを見るとしたら、一本が384Kbpsとして、掛ける5千万、すなわち約20Tbpsが単純な計算では帯域資源として必要になるということになる。これは乱暴な計算だ。それで、300万人とされる大学生が、一斉に1Mbps必要な動画をシンプルに受けているとする、そうすると、3Tbpsになる。
総務省のトラフィック集計、たとえば、2019年11月分の集計が2020年2月に出ている(https://www.soumu.go.jp/main_content/000671256.pdf )。ISP9社の協力を得た統計等がそこにある。ISP9社で、日本全体の68%ほどになっているという注釈と、それを元にした総トラフィック量の推計が記載されている。それによると、『日本のブロードバンドサービス契約者の総ダウンロードトラフィック推定値は約12.7Tbps』と書かれている。国立情報学研究所の資料には、現在約25Tbpsが日本の帯域資源の上限になっているという記述、またアップロード等や他のトラフィックを含めた帯域消費はピークでは22Tbpsという記述がある(いずれも推定値で、ブログなので出典等は略)。単純にこれに3Tbps増えたらどうなるか、というわけだが、その心配の前に、使い方の工夫をする、という時点に今来ているような気がする、数値がどうのこうのという正確さより、この工夫を考える時点が近づいている、ことがここでのポイントである。
第一に、多数のビデオストリームを上限を意識しないで日本中で並行してどんどん流せるかというと、そうはいかないよ、ということ。
第二に、カメラを使って、全員の顔を見ながらビデオストリーミングをする、ということは貴重な資源をたくさん使っていることを認識するべきだろう、ということ。
第三に、インターネットは24時間均等に使われているわけではないから、空いている時間もでてくるだろう、ということ。おそらく明け方。
第四に、授業のストリーミング、ある程度のコアコンテンツは前もって収録しておき、参加者にくばっておくことで、授業時の帯域消費を減らせるはずだ、ということ。夜に先生がつくったら、それを朝までに自動的に受講者のパソコンに流し込んでおく、あるいは朝早く受講者はダウンロードしておく、といったこと。
どれも時間がある中で考えたこと。医療崩壊の次の悪夢は、我々にとっては帯域崩壊である。