2024年秋にFacebookにポストした記事を若干修正してここへ載せる。
人工知能って一体なんなんだ。この5,6年で目の前で再びぶる下がってきている40年来の難問である。最近ようやくどう説明するかは見えてきて話す気がするようになった。近辺にある言葉として、コンピュータサイエンス、計算機科学といった日本語にするにはためらいがある、情報科学、情報工学、あるいはIT、情報テクノロジー、あるいはIS、情報システム、その他があって、その近辺にいる人たちは自分が何者であるか悩みつつ分野の表現を決めている。もちろん、脳科学や生理学的分野として歩んでいる人もいるし、いろいろ。ある先輩の先生は自分のことを達観して工学者だといったり、あるいは、理学部にあるから情報科学、工学部にあれば情報工学だ、と言いその中にAIを位置付けようとした大先生もいる。あなたはどうしていますかと問いたい。私は10年くらい前から、自分の工学的立場を意識して、AIはITのフロンティアのことだ、と話そうと思うようになった。定着する固まりは、しばらくするとAIから離陸する。ずっと続くフロンティアの事だから対象も拡大を続け、手法も以前のものを大きく変えるものも出て、領域の定義を定めるのは至難の業である。たえず近間から異議申し立てが出るし、それを進歩だと自ら考える不思議な世界である。
AIをITのフロンティアとして見るなら、ITとは何かが次の課題になる。information technologyすなわち、情報テクノロジーの根っこには、普遍的なテクノロジーの話がある。
テクノロジーのコンポネントは3つある。equipment, procedure, know-howである。まず、テクノロジーの場・仕掛けとなるequipment。具備された機能に関わるprocedure。この二つで、そのテクノロジーは何に対して何ができるものかが規定される。しかしそれだけでは現実に有効に機能するには足りない。know-how componentがあってそのテクノロジーの全体像が決まる。know-howは、用意された機能が規定する使い方の中から実際に適用する際に不可欠な部分である。
これは、operations managementの分厚い教科書に書かれている扱い方だが、この三つの側面に分解するのは私にはしっくりと来るのでずっと使っている。モデルとかスタンダードとか、効率とか、コストとかがそれぞれに関連して話が展開される。3つのそれぞれが改良され、時には全く新しいものに置き換えられ、そのテクノロジーは成長する。自分は、そのような性質のITのフロンティアにAIを位置付けて見ていると思う。したがって、AIについてもそれらの三要素を意識していないわけではない。そして、Springer NatureからA Narrative History of AIを出版した。あと足りないのは、Computer ScienceそしてITそのものとの高校生時代から20代前半までの出会いについてである。これらについてなお奮起して順に書き留めたい。