ふたつの超大国 米中の百年 初回放送日: 2024年1月15日を観た。次のように紹介されていた。
『世界大学ランキングでアジア最高位の清華大学は、親米派人材を育成するというアメリカの目論見によって清朝末期に設立された。清華大学から渡米し、ロケット開発の第一人者となったのが天才科学者・銭学森。しかし銭はアメリカで赤狩りによって逮捕され、国外追放された。中国帰国後は初の核ミサイル開発を実現する。清華大学は多くの政治家も輩出している。そのひとりが習近平である。ふたりの人生を通して描く米中激動の百年。』
思ったこと。
銭学森の話、「二つの超大国 米中の百年」で中核的エピソードとして流している。アメリカは、冷戦の中、彼を追放した。v2ロケットの作り方を戦後学びに米国はドイツに送った人なのに。少なくとも、要らないと言った。彼は中国に渡っても仕事に没頭する。そして惜しげもなく、自分がCalTechで研究してきたことを若い人たちに伝え、宇宙開発能力を前進させる。ところが、さらに皮肉なことに文化大革命で下放される。時代に翻弄されるというのはこういうことだ。
翻弄された研究者。それは要らないと言われた人間はそこを去るしかない。どんなにさみしくとも。でも行った先で歓迎されるならそれまで以上の成果を出せるようにさらに頑張るだけだ。銭はその後、カリフォルニア工科大学から優秀な卒業生として表彰したいという連絡が来る。でも彼はちゃんとした謝罪もないのにと、と拒否する。そして80歳を越える。身に染みるようによーく分かる。
そして、講義で扱った次の人物のことも思い出した。
張忠謀、1931年浙江省生まれ、国共内戦の頃17歳で香港に移住。アメリカに渡り、電子工学畑、MIT、Stanfordで学び、博士号をとり、テキサスインスツルメントの要職も勤める。そして、台湾の招請に応じ、TSMCを創業。世界の半導体を支える。20年の時代の差とちょっとした分野の違い、周囲の違い、が銭学森とのその後の大きな違いに至る。