デジタルトランスフォーメーション、この数年に多く語られてきたキーワードである。「…化」あるいはトランスフォーメーションというのは、結果が大事ではあるが、結果を達成するためのプロセスを重要視する表現である。あらためて書くが、「プロセス」を大事にすることが大きな成果につながる。
「教育のデジタル化」には3つの側面があるだろう。
1)教育方法へのICTの一層の活用:これは狭義のデジタル化であり、多くの人はこれを「教育のデジタル化」として考えているように思う。自然に、有効な形で、かつ、さまざまな道具を取り入れるのはとても重要なことだが、だからといって、デジタル化イコールICT活用のはずはない。道具の使い方は最後に自然に習得するのがいい。
2)デジタル時代の教育内容・学習方法の組み方:時代の変化に沿って、教育内容も変化していくのは必然である。したがって、ここでの課題は、教育供給側の課題が大きい。かなりの部分は用意された教材、教育内容の設定に依存するからだ。
3)そして、デジタル化の中で生活すること:おそらく根源的な課題は、デジタル化をどのように理解し、その付き合い方を知ることが最も大事なことになる。上記1)および2)の前提となる大切な部分である。
これらを総合すると、「教育のデジタル化」という課題は、「デジタル時代についての、個々人の理解の深化とデジタル力の強化」と言うことになると思っている。
デジタル力を鍛えるにはどうするか、長ったらしい説明を省略すると次だろう。
ステップ1:デジタル機器を使ったコミュニケーションを経験する。しかも日常的に、多様に。そして、デジタルコミュニケーションの特質をつかむ。
ステップ2:コミュニケーションの表現力を鍛える。また相手が表現するものへの理解力・推理し意味を把握する力を鍛える。
ステップ3:デジタルコミュニケーションを活かした協同・協調を教育内容と学習プロセスに取り入れ、それを学ぶ。
ステップ4:その教育内容が本質的に持つ内容、芯となる内容を明確にし、しっかりと把握させる。これにもアクションラーニングを働かせる。
ステップ5:ここまでで使用してきたICTツールの特徴、課題、問題点などを経験をふりかえりながら理解する。
あえて言えば、デジタル時代の表現力・理解力の再編成が教育のデジタル化であろう。