一般に教育制度は決めて実行をはじめてから100年で効果がでる。長い道のりだという。では、家庭の教育はどうか、というと、まぁ10年とか20年後に答えが「自動的に」出るもんだと最近思う。そして、それは教えたことというより日頃どんな生き方・暮らし方を子供の前に見せているかということが、出す答への影響は大きい。だから、要するになにを個別に教えようとしても大差はないな、とさえ思う。おそらく、教えようとした時に、親がどんな態度でそれに臨んでいるかはかなり効く。
二つ思い出す。とても忙しい、自分の仕事に忙しい頃、それでも日曜の朝は一緒に教会学校に行こうというのだけは決めていた。そんなころ、自分で日程を設定できる海外出張は月曜発金曜着と決めていた。日本に居ても、その頃は朝は小学校に子供たちが行ってから起きて、出かけ、夜は子供たちが寝てから帰って、というような生活が続いていた。要するに週日には顔を見せていない。家内も淡々と毎日を過ごす方だから、ある日、出張から帰って、土曜に子供たちにお土産を渡した時、子供たちは言った、「あれ、パパ、また居なかったの?アメリカ?お帰り、プレゼントありがとう」まいったね。
もうひとつは、そんな頃のある日、家内も大変だったし、そうしようか、ということで、「よし、今日の夕飯はどこかに食べに行こう!」と言ったら、一人の娘が、「だめだよ、パパ、うちは貧乏なんだからそんなことしてたらお金がなくなっちゃうよ」まいったね、言葉がなかった。
つくづく子供は親の背中を見て育つというがそのとき、ずんと来たのを覚えている。そして、説明をする適切なタイミングというのは難しい。子供は小さな時から毎日毎日自分が状況判断をしたその基準で自分の方針を形作る。いい父親だったかどうか、ごめんなさい。でももうしょうないね。