ある高官が私に聞いた。「なぜベトナムに注目するのか?」
ありがたい、というか、タイムリーな質問だった。ベトナム側からそのような質問がでるのはうれしいことである。
基本的には次のことだと言った。まず、第一に地政学的に重要な位置にある。そこにある国がどのように発展していくのか興味があるし、助力できるとしたら大学教員としてうれしいことである。第二に、日本の心情を深く理解してもらえる要素をもっている国である。おしんがわかる。国民性として近いものを感じる。まじめで努力する人が多い。日本が先の戦争において大きな侵略をしてこなかった。日本人への感情は概して悪くないので、本気で付き合える。日本から学ぼうとする姿勢がある。
前提としては、途上国であること、アメリカに勝った国であり、ということはアメリカが本気で援助をする対象となっていないこと、もある。
国際的な分業の構造の中で、農業以外の輸出貢献は今までは無いというべきであるから、また、資金的な余力も乏しいというべきであるから、なにもないところから有を生み出そうとする無形の生産活動はまず着目するところのはずである。若者が多い。人口は多く、産業振興の経験に乏しく、手探りのことばかり。今のところ、賃金も低い。労働集約の知的生産を優秀な人が集まっておこなうことに、興国の要因をみることができる。そんな点からも、ソフトウェアの開発作業や、デジタルコンテンツの作成作業などを中核とするといいだろうと感じている。そこには、ほんものもにせものもいる。日本側にもさまざまな人とその思惑がかさなることになる。
今、Blenderというオープンソースソフトウェアに注目している。これはなかなかのすぐれものである。ゲームエンジンまで入っている。プログラミングはPythonによる。こうしたことから集中研修3DCG09をホーチミンで行った。この話はいずれまとめて。